Exhibition / 2019.7. 7 sun - 18 thu

「Missinglink」とは忘れ去られた歴史の中に埋もれるロストテクノロジーを見つけ、探求・記録し、それらを伝えることで、様々な史実やストーリーを浮き彫りにし、未来につなげていくプロジェクトです。 この度、「Missinglink」プロジェクトとして、日本では知られずに歴史の中に埋もれてしまった、失われた幻のポーセリンジュエリー「トシカネ」の希少なコレクションを一挙に集めた世界初となる展覧会を開催します。

昨今、再現不可能なその類い稀なるデザインや技巧、オリエンタルでユニークなデザイン、いまやコレクターのコレクション以外では見ることができない流通の超希少価値性から海外では再注目を集め、海外オークションでは1 円玉サイズ程の陶磁器製のアクセサリーが数万円という高値で取引されている“幻のジュエリーブランド”をご存知でしょうか?

その名は俊兼ジュエリー。通称:トシカネ。本展覧会は、世界中のコレクターが探し求めている、そんな「トシカネ」の貴重なコレクションを一挙に集め、初公開する世界初の試みとなる企画展覧会となります。「トシカネ」の細部までこだわり抜かれた技術はまさに、手業の限界を超えたスーパークラフト。手の中に収まる緻密なミクロアートの小宇宙、その歴史の中に埋もれるひとつのアンティークには留まらない、人々を魅了して止まない「トシカネ」の華麗なる世界をお届けします。

About Toshikane Jewelry

トシカネとは?

忘れ去れられた有田の異端。
失われた幻のポーセリンジュエリー!

俊兼ジュエリー(通称:トシカネ)は、400年の伝統を誇る有名な磁器、有田焼でつくられたジュエリーです。
1950年代という近代に分類されながら、その細工や模様の描き方が恐ろしいほどに繊細で細かいことから、明治の薩摩ボタン並みに海外では貴重とされています。人の手業を超えた技術力と職人の魂がこめられたトシカネは、その類い稀なるデザインや技巧から、人々を魅了して止みません。

時代に埋もれてしまったトシカネ

もともと有田で磁器を製作していた、小島俊一氏(こじましゅんいち)と有田焼の絵付け師だった南兼蔵氏(みなみかねぞう)が、昭和6年に帯留め作りとしてはじめたブランドで、ネーミングの由来は二人の名を一文字ずつとって「トシカネ」となりました。
彫金や象牙、珊瑚などで作られていた帯留めを、焼物で作ること自体が画期的なことでした。しかし太平洋戦争がはじまると、帯留めは贅沢品として制作が禁じられ、軍人微章作りに転向。

そして終戦を迎えると、今度は進駐軍向けにアクセサリー制作を開始します。時代の流れに合わせて姿を変えてきたトシカネ。もっと広く知られるためには…といろいろ試行錯誤をした中でつくったオリエンタルなデザインは欧米人に好まれました。多い時には従業員50 ~ 60 人が働き、年間数万個の注文があったといいます。しかし1985(昭和60)年の世界的な経済のあおり(プラザ合意)を受け、アメリカへの輸出が完全にストップしてしまいました。
他に類を見ないデザインを持った有田焼の宝石は、時代や人々の好みが変わって行く中、次第に姿を消した“幻のジュエリー” となってしまったのです。いまでは再現不可能であり、オリエンタルでユニークなデザイン、現存するものだけという流通の超希少性価値から、海外のコレクターの中で再注目を集め、海外オークションでは1 円玉サイズ程の陶磁器製のアクセサリーが数万円という高値で取引されているのです。

特に欧米人に好まれたオリエンタルなモチーフ

桐箱に納められたボタン。七福神や能面のボタンは当時海外で人気を博したデザインの一つ。

The point of seeing Toshikane

トシカネのここがすごい!「Supercraft」展の見どころ

再現不可能!? 超絶技巧のミクロアート!!!

陶磁器製だと信じられない程の凄まじい解像度。
生き物の鱗や毛並み一本一本まで再現された、ルーペ必須の精巧緻密な彫刻に注目です!小さなパーツは直径10ミリほどにも関わらず、なんと多いもので5回以上も窯で焼いていたのだとか!小さく繊細な型を作り、焼き上げ、それを糸より細い線で細かく絵付けする工程は今の技術を持ってしても気が遠くなる作業です。

圧倒的な解像度!? リアルよりもリアルな絵付け

当時の有田では一種のタブーとされてきた、洋食器などの絵の具を混ぜて使ってみたり、独自に研究し配合した釉薬などを使っていました。今では入手不可な原材料もあり、再現不可能な色もあります。有田焼の既存の概念を覆し、職人の努力で試行錯誤の結果、この圧倒的な色彩の解像度にたどり着いているのです。

まるでミステリー!? モチーフからはじまる空想ストーリー

海外の人たちに受け入れられるような日本らしいモチーフやオリエンタルを意識したような独特なデザインは、現代で見てもユニークで普遍的。そのデザイン性はトシカネ唯一無二のものです。独特で不思議なモチーフでストーリーを組み立てて空想する楽しみも、トシカネの醍醐味のひとつと言えるでしょう。

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